2020年に発表されたAutoCADのマルチユーザー(ネットワークライセンス)の廃止は、CAD業界に大きな変化をもたらしました。結果的に、競合他社であるGraebert(グレバート)社のARES(アレス)の市場が拡大。これまでLG、サムスン、ヒョンデなど韓国のグローバル企業、そして日本のゼネコン(建設業界)トップ20社のうち65%が、そのライセンスを、AutoCADからARESへ移行しています。

ARES ネットワークライセンス

この記事では、1999年に設立され、世界140カ国からアクセスを集めるCADの老舗メディア「Architosh」の記事「AutoCAD ライセンスの廃止がもたらしたARESの柔軟性とは?」から、その抄訳を紹介します。 作者は、Anthony Frausto-Robledo氏。AIA(アメリカ建築家協会)の会員であるとともに、「Architosh」編集長でもある同氏が、ライセンスについて詳細に分析しています。

AutoCADのライセンス廃止によるターニングポイントとは?

AutoCAD のマルチユーザーライセンスの廃止は、日本を中心としたアジアマーケットで大きなターニングポイントとなりました。

ここからは、そのターニングポイントにいたるまでの経緯を解説します。

ARES のエンタープライズ対応が、より市場の拡大をもたらした

AutoCAD のライセンスに比べて価格的な優位性があった ARES は、続いて AutoCAD を凌駕する大規模なプロジェクトに対応できるエンタープライズ版としての革新性を実現していきます。

大規模な組織には、CAD をほとんど使用しないライトユーザーが数百人単位で存在します。そのため、ARES のネットワークライセンスは、こうしたユーザーに柔軟性と優れた経済性を提供するようになったのです。

さらに「Trinity(トリニティ)」と呼ばれる ARES のエコシステムが、利便性を高めます。この Trinity は、デスクトップ、クラウド、モバイルで利用できるCADソリューションで、現場とオフィス、在宅ワークや出張先といった新しい働き方を支援します。さらに、ローカルネットワークではなく、クラウドを通してライセンスを共有できる新しいライセンスの提供も開始しています。クラウド上のユーザーグループ内で ARES Commander with Trinity (ARESのデスクトップ + クラウド + モバイル機能)を共有できるフレックスクラウドというライセンスです。

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